研究内容

最新ナノ材料研究紹介

機能性金属・合金ナノ粒子合成技術開発・応用

研究テーマの概要

金属ナノ粒子インクの作製に必要不可欠な、①シングルナノサイズの高結晶性金属粒子の合成、②耐酸化性の向上処理、そして③表面修飾による分散性向上という3つの要素技術を開発し、ナノ粒子の応用へ向けた基盤技術の確立を目指す。同時に燃料電池電極触媒、光電変換材料および電磁波吸収体・アンテナなどの高周波用途へ応用可能な金属ナノ粒子をターゲットとし、新たな技術開発が望まれているエネルギー・環境分野の発展に貢献する。

想定される応用技術の分野

  • 金属・合金ナノ粒子合成技術開発
  • ナノ粒子表面修飾技術
  • 鉄ベース合金ナノ粒子の合成

期待されるビジネスのイメージ

  • 導電性・磁性ナノ粒子の製造
  • ナノ粒子分散ペースト・インク材料磁気温熱療法材料
  • 電波吸収体・アンテナ材料・燃料電池電極材料

遷移金属―白金合金磁性ナノ粒子を用いた電極触媒の開発

燃料電池に用いられる金属Pt触媒はCOにより被毒されるので、劣化の少ないRu-Pt触媒が使用されているが、資源・コスト面の問題を克服できる代替材料が求められている。予備実験の結果、新規に開発したFe-Pt微粒子は金属Pt触媒よりも高いCO耐性を示した。そこで、各元素の水素酸化能を考慮し、遷移金属とPtとの合金のうちFe-Pt、Ni-Pt(図1)、Co-Pt系に焦点を絞って微粒子を調製し、安価でCO耐性に優れた触媒を開発する。
(図1)白金と同程度の水素化反応活性を示す立方体Ni90Pt10ナノ粒子の電子顕微鏡写真

高周波材料の開発

近年の携帯電話や無線LANの急激な普及や、モバイル機器などの電子機器の小型化、集積化および高周波数化に伴い、電磁ノイズによって電子機器が誤作動するなどの問題が顕在化し始めた。この問題に対処するため、特にGHz帯で有用な磁性材料の開発が望まれている。本研究室で開発した粒子径数十nmの高飽和磁化FeCoナノ粒子(図2)に加え、高透磁率を示すFeNiナノ粒子の合成および、それらの形状制御を試み、GHz帯で高透磁率を示す高周波材料を開発する。 本研究で開発されたFeCo合金粒子の高周波特性を図3に示す。
(図2)FeCo合金粒子の走査型顕微鏡写真(a)合成直後 (b)ボールミル粉砕後

光電変換材料の開発

大量供給が可能であり、かつ低コスト代替材料の開発が急務である。代替材料の候補としてCuO、Cu2OやCuSのナノ結晶が有望視されている。本研究室で開発した金属Cuナノ粒子の合成プロセスでは、高結晶性のCu2Oナノ粒子が中間体として生成する。 この方法で得られた金属Cuナノ粒子を硫化することでCuSナノ粒子が生成する。CuOナノ粒子のサイズや結晶性、硫化方法などを制御し、高効率な光電変換材料を開発する。
(図3)ボールミル粉砕FeCo合金粒子の高周波特性

特許・共同研究等の状況

金属・合金ナノ粒子合成技術の開発およびその方法を用いて合成した金属・酸化物磁性・導電性ナノ粒子の工学・医学応用に関して、企業、大学等との共同研究を実施しています。

ナノ材料研究分野

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