研究内容

最新メソスコピック材料研究紹介

メソスコピック機能性材料に関する研究

研究テーマの概要

 ゾル-ゲル法や水熱法などの溶液プロセスを用いて、自己組織化(Self-Assembly)や配向集積成長(Oriented Attachment)などメソスケールでの構造設計に取り組んでいます。材料系は金属酸化物をはじめとし、有機-無機ハイブリッド、ガラス、金属ナノ粒子、ナノカーボンなど多岐にわたります。ナノ粒子やナノ構造の向きや形をそろえることで発現するマクロな集合体の特異な物性の開拓を行っています。
 一例として、固体レーザやディスプレイへの応用を目指し、C-dots(カーボンドット)と呼ばれる蛍光ナノ粒子の界面相互作用を用いた有機-無機コンポジット蛍光薄膜の作製および蛍光特性の評価を行っています。

想定される応用技術の分野

  • 固体蛍光材料の蛍光増強・波長調律
  • ナノ結晶の配向性を生かした酸化物強誘電体・磁性体デバイスの開発
  • 微細周期構造を有する環境応答性スマート材料の開発

カーボンドットを用いた固体蛍光材料の作製

カーボンドット  カーボンドット(C-dots)は炭素骨格からなる10 nm程度の蛍光性ナノ粒子です。(図a)豊富な資源から合成可能で、毒性が低く、水分散性にも優れるなど、多くの利点を有するため、新たな蛍光材料として医療・電子・光学分野での利用が期待されています。(図b)
 現在、C-dotsと金属酸化物(ZnOやSiO2)との複合化を行い、材料間界面での相互作用を誘起することで、固体蛍光材料の発光効率の向上や蛍光波長の調律に関する研究を行っています。一例として、蛍光性半導体である酸化亜鉛(ZnO)とC-dotsを接近させると、エネルギー移動が誘起され、C-dotsの蛍光が増感します。エネルギー移動を誘起したZnO-C-dots複合薄膜をゾル-ゲル法により作製し、C-dots濃度に応じた様々な色度の蛍光薄膜を得ることに成功しています。(図c)

水熱法による異方性粒子の凝集・成長プロセスの制御

BFO形態制御  金属や酸化物などのナノ結晶は、キューブ・八面体・シート・ワイヤーなどの粒子形態に応じた特異な物性を示します。この特性を実用デバイスに応用するために、ナノ粒子の異方性を維持したままのスケールアップ技術に取り組んでいます。
 一例としてペロブスカイト型強誘電体材料であるBiFeO3粒子の水熱合成を行い、反応溶液内の不安定さ(過飽和度)をKOH濃度により変化させることで、凝集・成長プロセスを制御し、表面粒子形態を反映した数十μmスケールの形態制御されたBiFeO3凝集体の作製に成功しています。

光誘起による入れ子状微細しわ構造の作製と外場応答性

微細しわ構造  力学特性の異なる多層膜では、層の界面に生じる応力ミスマッチにより、表面周期しわ構造が形成します。微細しわ構造を有する有機-無機ハイブリッド薄膜は、フレキシブル電子デバイスやマイクロレンズ、微小流路のスイッチング等への応用が期待されています。
 光重合性モノマーとシリコンアルコキシドから成る有機-無機ハイブリッド薄膜を成膜し、UV照射を施すことで、薄膜表面近傍での光重合と下部層でのシリカ重縮合に伴う収縮を誘起し、ポリマー表面層、中間層、シリカ下部層の3層からなる薄膜を作製し、階層的周期を有する入れ子状のしわ構造を形成しました。(右上図) この入れ子状しわ構造は湿度に対して応答性を示します。これを応用して、異なるサイズの粒子が分散した水溶液中で、しわ構造周期によるサイズ選択的な粒子の脱着に成功しています。(右下図)