ナノスケールになったとき独特の特性が生じる素材を研究開発するという分野である。ナノ材料は、同物質のバルク材料に比べて異なった性質を示す。材料はナノスケールの大きさになった際にサイズ効果および量子効果を示す。サイス効果の代表的な特性として、ナノ材料の融点はバルクの園材料に比べる数百度も低くなる。また、量子効果の結果バルクでは導電特性を持ったものはナノスケールでは半導体や絶縁性を示す。
「自然に学んだものづくり」を実現するべく、単分散による機能性ナノ粒子やそれらの分散系の作製技術開発に取り組んでいる。その一つとして、低環境負荷非水溶液プロセスの一つであるポリオール/アルコールプロセスにおけるナノ粒子の化学合成プロセスの機構解明、およびそれに基づくナノ粒子の組成・構造の精密制御プロセスの確立を目指している。
これらの一つとして、金属ナノ粒子インクの作製に必要不可欠な、シングルナノオーダーの高結晶性金属微粒子合成・耐酸化性の向上処理・分散性向上のための表面装飾処理、という要素技術の開発を目指している。(図1)
現在、自給循環型白金ミニマム化合金微粒子触媒の創製、太陽光発電用酸化銅および硫化銅の合成技術開発およびGHz帯高周材料の開発など、様々な目的にあったナノ粒子の材料設計ならびに単分散ナノ粒子合成を行っている。
ゾル-ゲル法や水熱法などの溶液プロセスを用いて、自己組織化(Self-Assembly)や、配向集積成長(OrientedAttachment)などメソスケールでの構造設計を行っている。ナノ粒子やナノ構造の向きや形をそろえることで発現するマクロな集合体の特異な物性の開拓を行っている。金属酸化物やアモルファスシリカ、層状無機水酸化物などの材料を対象としている。
一例として、固体レーザーへの応用を目指し、蛍光性ナノ粒子の界面相互作用を用いた有機-無機複合蛍光材料の作製を行っている。
バルク材料分野では、水素吸蔵合金について研究開発を行っている。特に今後要求される吸蔵圧者、従来の合金に比べて高圧化すると思われるので、今まで「扱い難しい」と見られていた合金が、新しい材料として復活する可能性を含んでいる。このほか、電気抵抗材料の研究開発や金属表面効果技術の開発などを行っている。
チタン・ニオブ・ジルコニウム等を主成分とする水素吸蔵合金について研究開発を行っている。特に、水素占有位置の形に注目し、特徴的な結晶構造を有する新規水素吸蔵合金について、平衡相・非平衡相を含む新規金属間化合物を中心に深索を行っており、従来吸蔵能力がひくいとされていた合金(例:Nb6Fef合金、図3)に、元素の置換や添加を行うことにより、水素解離圧を調製し、貯蔵タンク用新規水素吸蔵材料の開発を目指している。